脳出血から生還~日々続くリハビリを記録

55歳の働きざかりで、脳出血で緊急入院。もう一度「ロードバイクに乗りたい」「ツールド東北に出たい」男の闘病記。

入院仲間の山下くんは、今月大きな手術を受ける。 ぜひ、応援お願いします

 
脳出血を発症し、僕の入院仲間になった、
13歳の山下くんからLINEが来た。
リハビリを頑張っているが、
「頑張るのをやめます」
「頑張るのではなく、楽しむ」に軌道修正するそう。
 
一日を楽しくすると、リハビリも進む、とのこと。
私も同じ意見。
こんな山下くんは、今月3/22-24に
「ガンマナイフ」という放射線で血管奇形を切除する、
難しい手術に臨む。
 
山下くんご本人からメッセージをもらった。
全国の「山下キャプテンファン」あてに。
13歳で、大きなチャレンジをする山下くんに
ぜひ応援をお願いします。
 
以下、山下くんのメッセージを転送します。
-----------------------------------
皆さんこんにちは.
いつも新野さんを通じて
僕のことを応援してくださり、ありがとうございます
僕は3月22日、23日、24日に
古川星稜病院でガンマナイフを受けることになりました
これは今後の出血予防のために受けますがリスクも高いし、後遺症がとても怖いです
でも少しでも可能性があるならば
その可能性にかけたいと思って
この治療をすることを決めました
その応援を力に変えて頑張ってきます
応援ヨロシクお願いします

脳出血、脳卒中になった時に、生死を分けること

夫が脳出血で倒れ、入院した。
後で知って、とても怖くなったのは、
脳出血の死亡率の高さ」だった。
重度の障害が残る人も多い、という。
なぜ、夫は助かったのだろう。
後で、聞いてみると、いくつか、ラッキーなポイントがあった。
発症し、匍匐前進でしか移動できなくなっていた。
【1)携帯があった】
携帯で119に電話できた。
いつもは、いろんな場所に置いているのに、
この日は、リビングに置いていた。
【2)家のドアに鍵をかけていなかった】
あの時、私が先に出かけ、夫は後から追いかけてくる
予定だった。
鍵をかけていなかった。
もし、あの時、鍵ををかけていたら、
夫は這って、玄関までたどり着いて
鍵を開けることはできなかった、だろう。
そして、もし鍵が開けられない場合、
救急隊員は、消防隊員を呼ぶ必要があった、と聞いた。
そしたら、もっともっと、時間がかかり、
もっと深刻になった、はずだ。
【マンション玄関のオートロック】
実は、夫は、救急隊に自力で電話して、
到着した時に、
「オートロックの鍵を開錠しよう」として、
何度もトライ、何度も倒れている。
 
【救急用に、「緊急ロック解除」があり、
1Fで救急隊が開錠できる】 ようだ。
※写真
 f:id:jitensyayarou:20210313220303j:plain
 
ところが、夫は分からなかったので、
何度も開錠しようとした。
【部屋に備え付けてあるインターフォン】は
床から1m60cmぐらいの高さにあり、
立ち上がって、開錠する必要があった。

これで倒れた時に、頭を打つほうが危なかった。
実際、夫の左腕は、血がついていた。
後で知ったが、脳卒中脳出血になると、
【バランス感覚が全部おかしくなる】なるため、
ちゃんと立ち上がれない、ようだ。
こんな時に、開錠しようとトライするほうが危ない。
【③たまたま、救急車を受け入れてくれる病院が、地域で一番の脳の病院だった】
後で考えると、どこの病院も余裕はなかったはずだ。
ラッキーとしか思えない。

夢中になれば、疲れや悩みは出ない。夢に向かう。

 
私が入院している病院の
「回復期リハビリテーション病棟」には、
40床あり、ケガと脳卒中の人が入院している。
 
たぶん、ケガの人は5人ほど。
残り35人ぐらいが、脳卒中です。
全く動けない(目を開ける、閉じるぐらい)の人が2人、
「歩けるけど、ここがどこか分からない」人も2人。
私よりも若い人も数人いて、
「50代以下の若い人」は10人弱。
だから、脳卒中患者のうち、「3割が50代以下」、と
『若年化』しているように見える。
男女比はほぼ、同数。
ただ、男性は左脳に障がいがある人が多く、
言語障害があります。
比較的麻痺が軽い人は、入院時から歩ける人もいる。
ほぼ、すべての患者(脳疾患)は、身体か、
脳機能、あるいは両方のリハビリをしています。
私は不幸にも左側の障害が重いですが、
幸運にも、脳に高次機能障害の異常がなく、
「死亡率や、重篤な麻痺」が多い脳出血なのに、
本当に、助かった。
「また自転車に乗ってツールド東北に出る」
という夢も、周りの人からすると、大変贅沢なもの。
多くの患者さんは、
「もう一度、自分の足で歩きたい」
「家に帰りたい」  と言うものだ。
中には、家ではなく、施設に移っていく人もいて、
本当に涙が出る。
装具付きとはいえ、私は歩くことができる
あと2か月は最低でも入院になりそうだなりそうだ。
「杖なし歩行」も開始しているから、
どこまで改善できるか、楽しみだ。
温泉に行き、お風呂に入りたい。
たまには「素足歩行」も頑張っている。
時々、頑張ることに疲れる。
あるオリンピック選手が、上達はコツは
 
「頑張らないこと。
 頑張ると疲れたり、苦しかったりする」と言ってた。
『夢中になりなさい』と。
夢中になれば、疲れや悩みは出ない、と。
リハビリに夢中になるのは難しいけど、
夢に向かって進む、と考えれば夢中になれるかな。

限界を超えてやる! 医療のプロが「絶対無理 ⇒ 乗れるかもしれない」と考えを変えた!!

私は担当の作業療法士さんを信頼している。
うちの奥さんと同じぐらいの年の女性。
非常に頼りになるし、冷静だ。
発言も、私たち患者の気持ちを汲むもの、決して甘いことや自信のない事はしない。
 
この病院に来て、
「自転車に乗りたい」と言った時、担当医師は、
相手にしてくれなかった。
 
まあ、まず歩けるようになりましょう、みたいな。
理学療法士も、まずキレイに歩くことを主眼にして、
そこをスタートとしていた。
 
作業療法士も、最初は厳しい見立てをしていた。
 
1か月経ち、私が毎日欠かさず自主トレをして、
担当医も、驚く回復具合を見せ始めると、
エアロバイクに乗せてくれるようになった。
 
作業療法士は、つま先に力が伝わるよう、
つま先へのリハビリもして頂けるようになった。
 
エアロバイクに乗り、問題は「足首が動くか?」
「つま先を挙げられるか?」にかかっている。
 
昨日の日曜、作業療法士にお願いした。
『手の自主トレも、課題もキッチリやるので、
脚、つま先を何とかして欲しい』と。
 
気持ちは通じ、治療をしてもらえた。
その時、作業療法士は言った。
 
片麻痺脳卒中による麻痺で半身が動かないこと)
の方が、自転車に乗ることはまず無理です。
曲げる+伸ばす、分離した動きが大変困難で、
到底乗れるとは思えない。
仮に乗れた人がいたとしても、
麻痺が軽い方だと思う。』 と言う。
最初は、私の障害の程度では「ムリだ」と思っていたよう。
 
しかし、
「あなたの回復を見ると、乗れるようになるかもしれない、
と思う」
と、言う。
「3年か、5年先には乗れるかもしれませんね」と。
 
絶対無理 ⇒ 乗れるかもしれない  に変わった。
 
1か月で起こした変化、だ。
この調子で変化を起こし続けよう。

待ってろ、ツールド東北!! そして、最終目的は蔵王ヒルクライムだ!!

 
脚のリハビリで、エアロバイクに
載せてもらう。
これが2回目。
前回は装具を付けて、今回は装具なし。
結果は、装具ありだと
ケイデンス(自転車に乗る人がペダルを回す速さ)70」
ぐらいで回せる。
装具をつけていないと、なぜかペダリングがつっかかる。
母指球の当たりで、軽く押すと、
片麻痺の特徴として、足の裏側の筋肉が反射を起こす。
そしてペダルが不死点から戻る際に、
足首が伸びる強さが加わり、上手にまわらない。
(ビデオだと分かりやすいから、今度から撮ってみよう)
歩行も、ペダリングも、
【つま先を持ち上げる(足首を固定する)】力が必要。
まあ、エアロバイクを跨ぐだけでも一大事なので、
まして、ロードバイクはまだまだ。
課題が分かってきたので、それに対するトレーニング機材に
よる補助を考えれば良いだけだ。
待ってろ、ツールド東北!!
そして、最終目的は蔵王ヒルクライムだ!!
いつの日か登り切ってやる、とは思ってる。