前橋さんは、最近入院してきた。
80歳ぐらいのおばあさん。
今朝、坂角のえびせんべい、の紙袋を持っていた。
紙袋の中に「えびせん」が入っているかは分からないが、
「坂角のえびせん、うまいです」と言うと、
中身はえびせんではなく、洗濯ものよ、と前橋さん。
看護師さんも加わり、数人で坂角のえびせん話で
盛り上がる。
前橋さんは、笑った弾みにむせてしまい、
そのむせかたで、またみんなが笑う、みたいな。
前橋さんいわく、病院ではあまり笑ったことがないので、
と言う。
つい2日前も、僕が前にいた病院から転院組で、
「あの病院あるある」の話で大笑いした。
私が来てから、ホールで話す人が増え、
笑い声が出るようになった、と
理学療法士さんに褒められた。
山野キクさんといい、笹原さんといい、
よく話し、よく笑う人達は、顔のマヒがすごく良く
なっている。
笹原さんなどは、別人だ。
涙にくれるも1日、
ベッドに引きこもるも1日、
みんなと笑って過ごすも1日。
同じ一日なら、私は3番目だ。
そして、笑う門に福が来て、
超ベテランマダムたちに囲まれて、
皆で楽しく頑張りたい。
いや、夢中に生きたい。