病棟に、海軍のゼロ戦パイロットが現れる、の巻。
リハビリ専門病院に移り、しばらく平穏な日々を過ごしていた。
しかし、八チローさんという爺さんが出現した。
この爺さんは、すごく文句を言う。
口を開けば何かの不満を言い、
不満を垂れ流す。
閉口していた。
昨日、ヘルパーさんか、看護師さんと揉めたようだ。
夕方から延々と同じ話を繰り返し、
「責任者呼んで来い!」だの
「始末書を書け!」だの、傲慢この上ない。
夕食後本を読んでみたいので、明るいホールへ行くと、
ハチローさんがまだいた。
彼は一人で食事をさせられないグループなので、
ホールで食事をする。
飯も自分で食えないのに、文句言うな、と私は言いたい。。
私も、着替えにトイレ、入浴全てがヘルパーさんの力が必要で、
感謝しかない。
この爺さんは、ずっと同じ話をしている。
御年、93歳だというが、実に声がデカい。
壊れたレコードの用にクレームを繰り返すおじいの話を
ねばり強く聴くヘルパーさんと看護師さん、偉いと思う。
頭が下がる。
ついに時間は20時だ。
【5時間同じクレームを続けていた】
蓮舫議員も真っ青!
多分疲れるといろんなことを忘れたのかもしれない。
だが、ついにヘルパーの聞き上手が勝り、
彼は、海軍でゼロ戦に載っていたことが分かった。
上のお兄さんも、海軍のパイロットだったという。
「200kgの魚雷を飛行機から投下すると、
機体が急に軽くなり、上昇する」 そうだ。
また、米軍のグラマン戦闘機がどうの、と
誇らしげに若いころの話をすること30分。
満面の笑みを浮かべて、ハチローさんは部屋に帰っていった。
ヘルパーさんはすごいなあ。
偉いよ、と思う。
おや?
ハチローさんは昭和4年生まれの93歳。
終戦当時は16歳。
果たして、パイロットになれたのだろうか。
もしかして、明日の八チローさんは、
ビルマ戦線の銀輪部隊に所属していた、とか
言わないだろうか。。。
また一つ、明日以降の楽しみが増えた。
ただ、喜ばしいことに八チローさんは、もうすぐ、
2/7退院予定だ。